不純なミュージカルのススメ

不純なミュージカルのススメ
不純なミュージカルのススメ

こんばんは、TKです。

30うん年生きていれば、人生が変わるきっかけになる出来事に1度か2度は出くわすもの。今日は僕のそんなお話をしたいと思う。




暗黒の20代

20代の僕は、一言でいうと『暗黒期』だった。なぜ暗黒期だったのか。それは恋愛面でどん底にいたからに他ならない。

自分で言うと非常にアレだが、僕は20代の頃はルックスはそこまで悪くなかったようで、お世辞も含まれてはいるにしろ、色んな人から「そこそこイケメン」ぐらいの評価は頂いていたように思う。

ところが恋愛面は本当にからっきしダメで、好きになる子にガンガンアタックはするものの、全部失敗という結果にしかならなかった。

今から思えば恋愛というのは総合力なので、ルックス、経済力、ユーモア、優しさなど、どれか一つで突破するというのはなかなか厳しいのかも知れないが、当時は不器用でお金もないただの若者だったので、優しさで勝負するしかないという意識だったと思う。(ルックスは時々褒めてもらえることはあったけども自分では全く自信がなかったので、そこで勝負するという感じではなかった。)

ルックスを褒めてもらっても素直に受け入れられるほどの自信はなかったにも関わらず、恋愛のアプローチの時点で失敗が続くと、周りの評価とのギャップが僕を必要以上に苦しめることとなった。「なんでこんなにも上手くいかないんだ、おかしいじゃないか」。

20代の恋愛は、自分的にはそこそこアプローチしていたと思うが、にも関わらず、1人だけ上手く「いきかけた」1件を除いては惨憺たる結果だった。ようは全滅である。

SNSでもよくネガティヴな発言をつぶやいては友達をなくすようなこともしていた。ある種の自傷行為だと思う。

ネガティブ男子、ミュージカルに誘われる

そしてもうすぐ30代を迎えようとする頃、きっかけは唐突にやってきた。

29歳だった僕は当時会社員をしていたのだが、仕事後に近くのカフェバーに行くことにハマっていた。

友達の紹介してくれた神戸の三宮にあるカフェバー『en+(エンタス)』はとても心地よい空間で、月に何度かは音楽やコミュニケーション系のイベントなどを開いていたりしていて、通うことでだんだん知り合いが増えていくこともあり、僕は足繁く通うようになっていた。

en+に通い始めて1〜2ヶ月経った頃、店員の1人にこんな話を持ちかけられた。

「今度、素人ばっかり100人集まってミュージカルを創るプロジェクトがスタートするんですけど、その体験会が◯◯日にあるんですよ。一緒に行きません?」

聞けば本当に歌もダンスも経験のない人たちも参加するようなプロジェクトらしく、僕のような人でも問題なく参加できるらしい。

ただ、20代を目一杯使って醸成された僕のネガティヴさは、そのプロジェクトに参加することを本能的に拒否した。考えてもみて欲しい。ネガティヴ思考フル回転の僕が、そんな満面の笑みで歌って踊るようなミュージカルなんて出来るわけがない

ところが(今となっては感謝しかないが)、その体験会を誘ってくれた店員の誘いがめちゃくちゃしつこかった。いくら「いや〜…、僕はちょっとそういうのは…」と言っても、御構い無しに誘ってくる。最終的にはあまりのしつこさに僕のほうが折れてしまった。

「いや、そこまで言うなら体験会だけは行きましょう。それ以上はやらないと思いますけどね。」

ところがその約1ヶ月後、僕は本申込を済ませ、練習の初顔合わせの場にいた。

参加した理由は2つあった。1つは体験会が思いのほか楽しかったこと。もう1つは参加者の男女比だ。このプロジェクトは毎年100人の素人を集めてミュージカルを創っているのだが、毎年ほぼ男3:女7ぐらいの割合になるらしい。実際体験会もそのぐらいの割合だった。要は「これに参加すれば、出会いになるんじゃないか」という下心だ。

練習、本番、そして…

兎にも角にもミュージカルのプロジェクトは始まった。新しい出会いに胸膨らませながらも、100日後に迫る公演を成功させなければならない。ダンスや歌の練習、衣装製作、チケット売り、やることは山積している。

練習は基本的に土日祝日はほぼ丸一日。公演が近付くと、足りないダンスの練習を補うために、平日の晩に皆で集まって自主練なんかもするようになってくる。肉体的にはなかなか辛かった。けど、皆に会えるという楽しみがその辛さを凌駕していた。

いっぱいいっぱいになりながらも、何とか100日間の練習を乗り切り、そして舞台は大成功に終わった。観客1500人×3公演。延べ4500人の前で、皆で歌って踊って演技をした経験は一生忘れられない経験となった。そして100人の同志たちはかけがえのない仲間となった。この時僕は30歳になっていた。

実は練習期間中に、僕は気になる子ができていた。気さくで誰とでも仲良くなり、すごく性格のいい子だった。

彼女とは公演が終わった後に急激に仲良くなり、複数の友達と一緒に遊びに行ったりする仲になった。ただ、公演終了後約2ヶ月ほどした頃に思い切って告白をしてみたが、敢え無く振られてしまった。20代の頃にネガティヴを極め、20代の最後の最後で挑戦したミュージカルを経てかなりネガティヴさが薄らいでいたように自分では思えていたが、やっぱり僕には恋愛の才は無いのか…。そんな思いが去来していた。

無意識の変化

ところが、自分でも気付かないような変化が訪れていた。

周りの人に「なんか明るくなった」と言われるようになってきたのだ。自分では全く自覚していないことだったが、100日間のミュージカル体験は、知らないうちに自分の心の凝り固まった部分をほぐしてくれていたのかも知れない。

結局ミュージカル関係での出会いは、恋愛という意味においては何も実らなかった。しかし公演が終わってから約5ヶ月後、僕はそのカフェバーen+のイベントで、とある女性と出会った。

20代をどん底で過ごした自分にはまさしく奇跡としか言いようのないことなのだが、その子は出会った瞬間にお互いが好意を持ち、まさにトントン拍子、たった2週間ほどで付き合うという流れになった。恥ずかしながら30歳になって初めて女性とお付き合いをすることになったというわけである。

残念ながらその女性とは1年ほどで別れることとなってしまったが、暗黒期の20代を過ごしながらも、たった1つのミュージカルがきっかけで、今までどうしても登れなかった階段を、ひょいと上がることが出来た。

その後の恋愛もまあ人並み以下ではあるので、「人生は素晴らしい」なんて言えるような人生は送ってはいないのだけれども、少なくとも「人生はいつでも一発逆転できる」という考え方はできるようになった。

ま、全然大した話ではないかも知れないけども、酒のつまみにでもしてもらえれば幸いだ。



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