スキャナーのCCDとCISの違いは?アナログイラストを実際に比較してみた【2026年版】

アナログで描いたイラストをスキャンしてみたら、「原画と色が全然違う……」となってしまった経験はありませんか?
私も以前、仕事でアナログイラストを描いたときに、コピックで着色した原稿を手持ちのスキャナーで取り込んでみたところ、原画とはかなり違う色で読み込まれてしまいました。
以前にプライベートでイラストを描いたときにも同じような経験があり、Photoshopで補正することも考えたのですが、色によっては補正しにくいほど違和感のある色になってしまいます。
そこで、なぜスキャナーによってこんなに色が変わるのかを調べてみたところ、スキャナーには「CCDセンサー」と「CISセンサー」という2種類の方式があることを知りました。
そこで今回は、実際に同じアナログイラストをCCDとCISのスキャナーで読み取り、どのくらい違いが出るのかを比較してみました。
さらに記事の後半では、当時の比較結果だけでなく、2026年現在スキャナーを選ぶときに確認しておきたいポイントについても紹介します。
※この記事のCCDとCISの比較実験は2019年に行ったものです。使用したスキャナーは現在販売終了していますが、同じ原画を2種類のセンサー方式で実際に読み取った比較データとして掲載しています。現在購入できるスキャナーについては、記事後半で2026年時点の情報を紹介しています
スキャナーのCCDとCISの違いとは?
スキャナーで読み取ったイラストの色が原画と違ってしまう原因の一つとして、スキャナー内部にある「センサー」の違いがあります。
CCDとは?
CCD(Charge Coupled Device)は、スキャナーで原稿を読み取るために使われるセンサー方式の一つです。
一般的に、CISよりも本体が大きくなりやすい一方、読み取り時の光学系の構造上、厚みのある原稿や表面に凹凸のある原稿を読み取る用途などで使われてきました。
CISとは?
CIS(Contact Image Sensor)も、スキャナーで原稿を読み取るためのセンサー方式です。
CCDに比べて読み取り部分をコンパクトにしやすく、本体を薄くできることが大きな特徴です。そのため、薄型・小型のフラットベッドスキャナーなどで広く使われています。
CCDとCISは何が違う?
CCDとCISには、それぞれ特徴があります。
| CCD | CIS | |
|---|---|---|
| 本体 | 大きくなりやすい | 薄型・小型にしやすい |
| 特徴 | 光学系を含めた読み取り性能を重視した製品に採用されてきた | コンパクトで扱いやすい製品に採用されやすい |
| イラスト用途 | 色や階調などを重視する場合に候補になる | 手軽にスキャンしたい場合に向いている |
ただし、「CCDなら必ず高画質、CISなら必ず画質が低い」という単純な話ではありません。
現在販売されているスキャナーには、CIS方式でも高い解像度や色深度を備えた製品があります。そのため、2026年現在スキャナーを選ぶ場合は、CCDかCISかだけでなく、解像度や色再現、原稿サイズ、ドライバーやOSへの対応なども合わせて確認することが大切です。
センサー方式は一つの判断材料ですが、画質はそれだけで決まるわけではありません。
私自身、趣味のイラストならPhotoshopで時間をかけて補正するのもありかなと思ったのですが、仕事で使う以上、なるべく手間をかけずに原画に近い色でスキャンしたいと考えました。そこで、CCDセンサーを搭載したスキャナーを選ぶことにしました。
当時、CCDセンサー搭載のスキャナーにもいろいろな機種がありましたが、プロのイラストレーターが集まるコミュニティー内でEPSONの評判が良かったことや、読み取り速度と値段のバランスなどを考慮した結果、EPSONの『GT-X830』という機種に決定しました。
CCDとCISで同じイラストをスキャンして比較してみた
※この比較実験は2019年に行ったものです。使用したスキャナーは現在販売終了していますが、同じ原画をCCDとCISの2台で実際にスキャンした比較データとして掲載しています。
それではCCDセンサーとCISセンサー、同じイラストをスキャンしてみるとどのような違いになるのでしょうか?
急遽簡単なイラストを描いて、古いほうの『CANON LiDE210』(CISセンサー)と新しいほうの『EPSON GT-X830』(CCDセンサー)の両方でスキャンしてみました。
原画
比較には、コピックで着色したこちらのアナログイラストを使用しました。

参考までに、使用したコピックスケッチの色番号を記載しておきます。
ピザの耳…Y21
トマトソース…YR12/R35
バジル…YG23
チーズの縁…Y00
CIS:Canon LiDE210でスキャン
補正なし

原画と比べると少しぼやっとした印象になりました。また、黄色系のY21がやや赤みのある色に変わっています。
自動補正

自動補正をかけると、今度は赤みがかなり強くなりました。補正前よりも原画との色の差が大きく感じられます。
今回の比較では、自動補正を使えば必ず原画に近づくという結果にはなりませんでした。
CCD:EPSON GT-X830でスキャン

さて、今度はCCDセンサーの『EPSON GT-X830』でスキャンしてみました。
今回のGT-X830では、以下の設定でスキャンしました。
モード:プロフェッショナルモード
自動露出:ON
アンシャープマスク:ON
ホコリ除去:ON
画質の調整:なし
原画と比べると、CISのLiDE210よりも色の違いが小さく、特に赤とオレンジの違いが分かりやすく再現されました。また、塗りムラなどの細かな部分もより拾えているように感じます。
3つの画像を並べて比較すると?

比較しやすいように3枚を横並びにしてみました。こうやって見ると一目瞭然ですね。
特に赤とオレンジの違いを見ると、CISでは赤みが強くなっていますが、CCDでは原画に近い色合いが残っています。
今回の比較で分かったこと
私が同じ原画を使って比較した結果では、CISのLiDE210よりも、CCDのGT-X830のほうが原画に近い色でスキャンできました。
特に、赤やオレンジなどの色の違いが分かりやすく、CISでは色味の変化が大きく感じられました。
もちろん、これは2019年当時に私が使用した2機種による比較結果です。現在のスキャナーすべてに同じことが当てはまるとは限りません。
2026年現在、スキャナーを選ぶときにチェックしたいポイント
では、2026年現在スキャナーを選ぶ場合、どのような点を確認すればいいのでしょうか。
ここでは、アナログイラストをスキャンする用途を中心に、スキャナー選びで確認しておきたいポイントを紹介します。
CCDとCIS、どちらを選ぶ?
まず気になるのが、今回の記事でも比較したCCDとCISの違いです。
CCDは本体が大きくなりやすい一方、読み取り部と原稿の距離を確保しやすく、厚みのある原稿や凹凸のある原稿にも対応しやすいという特徴があります。CISは読み取り機構をコンパクトにしやすく、本体を薄くできるのが大きなメリットです。
ただし、「CCDだから高画質、CISだから低画質」と単純に判断することはできません。 実際、現在販売されているCIS方式のスキャナーにも、高い解像度や色深度を備えた製品があります。
そのため、センサー方式は一つの判断材料として考え、ほかのスペックや実際の用途と合わせて選ぶのがおすすめです。
光学解像度はどのくらい必要?
スキャナーの解像度は「dpi」という単位で表されます。数字が大きいほど細かく読み取れますが、数字が大きければ大きいほど必ず良いというわけではありません。
アナログイラストを印刷したり、Photoshopなどで加工したりする用途では、必要なサイズや使用目的に合わせて解像度を選ぶことが大切です。
また、スペックを見ると「光学解像度」と「読み取り解像度」の2種類が記載されている場合があります。比較するときは、ソフトウェアによる補間ではなく、光学解像度を確認するようにしましょう。
色再現や色の階調もチェック
アナログイラストをスキャンする場合、解像度だけでなく色の再現性も重要です。
特に原画の色をできるだけそのままデータ化したい場合は、色の階調や読み取り品質も確認しておきたいポイントです。
ただし、「48bitだから必ず24bitより綺麗」というように、スペックの数字だけで画質が決まるわけではありません。センサーや光学系、画像処理なども含めて考える必要があります。
A4で十分?大きな作品をスキャンするならサイズも確認
一般的なイラストや書類をスキャンするならA4対応で十分なことが多いですが、A3など大きな作品を扱う場合は対応する原稿サイズも確認しましょう。
特に大きな原画を分割してスキャンし、Photoshopでつなぎ合わせるのは手間がかかるため、大きな作品を扱う人は最初から対応サイズを確認しておくと安心です。
Macユーザーはドライバーの対応状況も確認
Macでスキャナーを使う場合は、本体の性能だけでなく、使用しているmacOSに対応したドライバーやスキャンソフトが提供されているかも確認しておきましょう。
スキャナー本体が正常でも、OSのアップデートによってドライバーやソフトが使えなくなると、継続して使用できなくなる場合があります。
購入前に、メーカー公式サイトで自分のMacとOSの対応状況を確認しておくと安心です。
本体サイズも忘れずに確認
高性能なスキャナーでも、デスクに置けなければ使い勝手が悪くなります。特にCCD搭載機は大型の製品が多いため、購入前に本体サイズと設置スペースを確認しておきましょう。
アナログイラスト用のスキャナーを選ぶなら、CCDかCISかだけでなく、光学解像度・色再現・原稿サイズ・OSやドライバーへの対応・本体サイズなどを合わせて確認することが大切です。
では、実際に2026年現在購入できるスキャナーにはどのような製品があるのでしょうか。次に、アナログイラストをスキャンする用途を中心に、現在購入できる製品を紹介します。
高画質を重視するなら「EPSON GT-X980」
アナログイラストや写真などをできるだけ高画質で取り込みたいなら、EPSONの「GT-X980」が候補になります。
GT-X980は、6ラインカラーCCDを搭載したA4対応のフラットベッドスキャナーです。反射原稿では4,800dpiの光学解像度に対応し、RGB各色16bitの入出力にも対応しています。
また、エプソンの現行ラインアップに掲載されているフォト・グラフィック向けの高画質モデルで、2014年発売の製品ですが、現在も販売・サポートされています。
今回の記事では、私が2019年にCCDのGT-X830とCISのCANON LiDE210を比較したところ、GT-X830のほうが原画に近い色でスキャンできました。GT-X980を実際に使って比較したわけではありませんが、CCD方式の高画質スキャナーを選びたい人にとって、現在購入できる候補の一つと言えるでしょう。
一方で、本体重量は約6.6kgとかなり重く、価格も他の2機種と比べて大幅に高くなります。そのため、誰にでもおすすめできる製品というより、価格やサイズよりもスキャン画質を優先したい人向けのスキャナーです。
| センサー | 6ラインカラーCCD |
|---|---|
| 光学解像度 | 4,800dpi(反射原稿) |
| 最大原稿サイズ | A4 |
| 読み取り階調 | RGB各色16bit入出力 |
| 重量 | 約6.6kg |
| 発売日 | 2014年10月9日 |
価格と性能のバランスを重視するなら「EPSON GT-S660」
高画質なスキャナーが欲しいけれど、GT-X980のような高価格なモデルまでは必要ないという方には、EPSONの「GT-S660」が候補になります。
GT-S660はCISセンサーを搭載したA4対応のフラットベッドスキャナーです。4,800dpiのスキャン解像度に対応し、各色16bit入力にも対応しています。
本体サイズは249×364×39mm、重量は約1.4kgと、GT-X980の約6.6kgと比べてかなりコンパクトです。価格も1万円台と比較的購入しやすいため、できるだけ予算を抑えながら、写真やイラストをきれいにスキャンしたい人に向いています。
また、GT-S660は2023年発売の比較的新しいモデルで、エプソンから現在もドライバーが提供されています。2026年現在はmacOS Tahoe(macOS 26)にも対応しているため、Macでスキャナーを使いたい場合にも選びやすい製品です。
一方で、今回の記事で紹介したGT-X830のようなCCDセンサーではなく、GT-S660はCISセンサーを採用しています。私自身はGT-S660を使ってGT-X830と比較したわけではないため、「GT-X830より高画質」「原画に近い色で取り込める」といった判断はできません。
ただし、CIS方式でも4,800dpiや16bit入力に対応していることから、「CISだから低画質」と決めつけず、価格やサイズも含めて選ぶことが大切です。
| センサー | CIS |
|---|---|
| スキャン解像度 | 4,800dpi |
| 最大原稿サイズ | A4 |
| 階調 | 各色16bit入力・各色8bit出力 |
| サイズ | 249×364×39mm |
| 重量 | 約1.4kg |
| 発売 | 2023年2月 |
低価格・コンパクトさを重視するなら「Canon CanoScan LiDE 400」
できるだけ予算を抑えて、手軽にアナログイラストや写真をスキャンしたい方には、キヤノンの「CanoScan LiDE 400」が候補になります。
LiDE 400はCISセンサーを搭載したA4対応のフラットベッドスキャナーです。4,800×4,800dpiの光学解像度に対応し、カラーは48bit入力にも対応しています。
本体サイズは約250×367×42mm、重量は約1.7kgと比較的コンパクト。USBケーブルでパソコンと接続するだけで使用でき、ACアダプターも必要ありません。
価格も1万円前後と手頃なので、スキャナーにあまり予算をかけたくない人や、必要なときに気軽に使えるコンパクトなモデルを探している人に向いています。
また、原稿カバーを最大21mmまで持ち上げられる「Advanced Z-Lid」を搭載しているため、厚みのある本や原稿もスキャンしやすくなっています。
一方で、今回の記事で紹介したGT-X830と同じCCD方式ではなく、LiDE 400はCIS方式です。私自身はLiDE 400をGT-X830と比較したわけではないため、「GT-X830より色再現性が低い」といった判断はできません。
ただ、現在のCISスキャナーは高解像度・高階調に対応した製品も多く、LiDE 400も4,800dpiや48bit入力に対応しています。価格やサイズを重視するなら、CIS方式というだけで候補から外す必要はないでしょう。
| センサー | CIS |
|---|---|
| 光学解像度 | 4,800×4,800dpi |
| 最大原稿サイズ | A4/レター |
| 階調 | カラー48bit入力 |
| サイズ | 約250×367×42mm |
| 重量 | 約1.7kg |
結局、どのスキャナーを選べばいい?
ここまで紹介した3機種は、それぞれ重視しているポイントが異なります。
できるだけ高画質でスキャンしたいなら、EPSON GT-X980。
価格やサイズよりもスキャン性能を優先したい人に向いています。
価格と性能のバランスを重視するなら、EPSON GT-S660。
CISセンサーを採用していますが、4,800dpiの光学解像度に対応しており、コンパクトで扱いやすいモデルです。
できるだけ安く、コンパクトなスキャナーを選びたいなら、Canon CanoScan LiDE 400。
4,800×4,800dpiの光学解像度に対応し、USBからの給電だけで使えるため、手軽にスキャンしたい人に向いています。
私自身が2019年に行った比較では、CCDのEPSON GT-X830のほうがCISのCanon LiDE210より原画に近い色でスキャンできました。ただし、これは当時使用した2機種による比較結果であり、現在販売されているすべてのCCD・CISスキャナーに当てはまるわけではありません。
2026年現在スキャナーを選ぶなら、センサー方式だけで判断するのではなく、画質・価格・本体サイズ・用途・パソコンのOSへの対応などを含めて、自分に合った製品を選ぶことをおすすめします。
迷ったら、まずは「どこまで画質にこだわるか」と「いくらまで予算をかけられるか」を考えてみましょう。
今回紹介したスキャナーをAmazonで確認する
高画質を最優先するなら:EPSON GT-X980
価格と性能のバランスなら:EPSON GT-S660
低価格・コンパクトさを重視するなら:Canon CanoScan LiDE 400













